「なっ……あり得ない。」
彼女は驚いていた。

当たり前か、僕は蛇を一瞬で全滅させてしまったのだ。

「ひ、卑怯よ。」
「はぁ、残念。僕は何一つ卑怯な事はしていない。」

そう言うと悔しそうに顔を上げた。

カチンと言う音がした。
刀を鞘におさめた音だ。

「こんな事って…………」

「なんだ?怖じ気づいたか?」
聞いてみる。

「お、怖じ気づいた?そんなわけないじゃないですか。」
見栄を張っているのか。

何故か少しイラッとする。

「じゃあ、行くぞ。」
そう言って真雄は彼女を倒しに行く。

殺さないように素手で。

今度は顔をねらって、右から殴る。
柴鬼はそれを止める。

だがそんな事たいした問題ではない。

その手を床につけ、今度は足で攻撃。

腹にヒット。本当は顎にでもしようと思った。




やめた。


「はぁはぁ、」
そして、息を切らす少女。

「まだやるか?」
地べたに寝そべる柴鬼に訪ねる。

「……………」
「何かいったらどうだ?」
イライラを抑えられない。


「じゃ、じゃあ、あなたはどうして私に留めをささないんですか?」

またか、

正直何故と言われても〝殺したくないから〟
としか言いようがない。

「なんなんだよ。」
僕はぶっきらぼうにそう言った。