なんだよ、こいつ。

「…」

「ぅ…」

「泣き止んだか?」

「泣き止みました…」

「急に泣くんじゃねーよ。」

「ごめんなさい」

こいつ、俺が今まで見てきた女とは違う。

「お前、名前は?」

「はい?」

「だから名前だよ!」

「松井陽菜です…」

「まついはるな?」

「はい…それが何か…」

「別に。」

こいつだ。
入学して早々可愛いと噂になってる女は。

さっきから泣き顔ばっかりしか見てないけど確かに可愛い…
俺…今まで可愛いと思った女はこいつが初めて。

俺は女が大嫌いだ。
生まれてから一度も女と付き合ったことがない。

嫌いだから。

なのに陽菜のことは嫌だとは思わない。

なんでだよ。

俺は素直に陽菜を守りたいと思った。