「やっぱり佳歩ちゃんには適わないなぁ」 さっきより明るい声で十香さんが言ったせいか今までの空気が一気に明るくなった。 「・・・え?」 ・・・適わないって、あたしの方が十香さんに適わないところだらけだ。 「ねえ、佳歩ちゃん。 いつまでここに居るの?」 「えっと・・・ 多分明日まではいると思います」 そう言うと十香さんは「じゃぁ」といい 「このチケット、もらってくれる?」 え? 十香さんはバッグから二枚のチケットを取り出しあたしの前に差し出した。