空き教室の中には、二人の男のひとがいた。
2人共、黒いスーツに身を包んでいて、そのうちの一人は厳つい顔の上に眉間にシワを寄せていて、二つ机をくっ付けうちの一つに座っていて、その向かい側に座るように指示してくる。
もう一人はその男の人の横に立っていて、まだ若い。
私は指示された椅子に座る。
「名前は?」
威圧感たっぷりに聞かれる。
「鮎川 美紅です」
震える声で答えると、私の緊張に気付いた向かい側の男の人が、少し顔を緩めた。
「緊張しなくていいよ。何個か聞きたいことがあるだけだから」
「なんですか…?」
聞かれそうなことがいっぱいあり過ぎて、なにを聞かれるのかわからない。

