やがて、先ほどの男子生徒が先生を連れて戻ってきた。
ガタイのいい体育教師は、その見た目に似合わず、廊下で死んだはずの担任、廊下から教室にかけて倒れている女子生徒を見て絶叫しつつ、教室に入ってきた。
教室に立ち込める死臭と血臭を感じ、再び先生は悲鳴をあげかけたけど、8組のクラスメート達が皆、立っていることもままならずへたり込んでいるのを見て、自分で自分の口を塞いだ。
「…っ…」
私の目の前で倒れる翔吾が、ピクリと動いたような気がして、私は翔吾の口元に手を当てた。
「……っ!よ、よかったぁ…」
口からは、弱くはあるものの息が漏れている。
次に、首筋に手を当てる。
トクン………トクン………トクン………
弱く、一定のリズムを刻んでいるのは、確かに翔吾の脈。
「生きてる!生きてるよぉ……」
確かめた途端、安堵で泣けてきた。

