一日の授業を終えて、放課後。



「翔吾、帰ろ〜?」



「いや、ごめん。今日、担任に呼ばれててな、一緒に帰れそうにないんだよ…」




申し訳なさそうに言う翔吾。



「そっかぁ〜…じゃ、仕方ないか。でも、先生に呼ばれるなんて、珍しいんじゃない?」



翔吾は、成績上位者。


成績で呼ばれることはなさそう。


それに、日々の授業態度も真面目。



…成績上位者にしかわからない、呼ばれる理由があるのかな?



「まぁ、俺も滅多に呼ばれねぇけどな。とりあえず、行ってくっから。先帰ってろ」


「うん。わかった〜…って、そろそろ返そーよ。ヘッドホン」



今日一日ヘッドホンを取り上げられていたことを思い出して、右手を差し出す。



「あぁ、わりーわりー。忘れてた。ほらよ」


手の中にヘッドホンが戻ってきて、首にかけた。



「じゃ、行ってくるな。気を付けて帰れよ」


「うん。バイバイ」