翔吾に、ぎゅっと優しく抱きしめられて、視界は完全に閉じる。
「ダイジょうブ…ヒトリデ逝かせタり、シナいヨ…」
その言葉が聞こえて、ブン!という、何かを振る音がした。
ザクッ、という、何かを切るような音も。
「うぐぅっ!」
翔吾が、苦しそうに何かを耐えるような顔をして、微かに呻く。
「ごめ、ん…美紅……」
謝ったのは、何故?
私を残して、死んでしまうことに対して?
目の前で、死んでしまうことに対して?
答えなんて、出ないまま。
答えなんて、聞けないまま。
翔吾は、私に体重を預けるのが嫌だったのか、ゆっくりと、酷くゆっくりと、私から手を離して、床に崩れ落ちて行く。
私は、翔吾を掴もうとして手を伸ばすけど、その手をすり抜けて、翔吾は倒れて行く。

