何が起きた、なんて理解できるはずもなかった。
分かるのは、何かが起こったんだ、という確信。
それだけ。
「先生?」
一番廊下側の女子が、恐る恐る、と言った感じで頭だけを出して廊下を覗き込む。
「ひっ!」
途端、息が漏れただけのような小さな悲鳴。
「あ、あぁ…あ、やめ…あぁぁ、いや、あぁぁぁぁ……!ぎゃあああああああああああああ!」
ガンッ!
女子の悲鳴、そしてさっきと同じぐらいの音が、さっきよりも近い場所で聞こえた。
ピチャピチャピチャ…
ゴトン……
さっきよりも低い位置から、重いものが落ちた音がして…
ドタッ!
女子の体は、そのまま真横に倒れこんだ。
その様子はまるで、糸の切れた人形が重力に従って床に倒れこんだようだ。
まるで意思を持たない、手で何処かをかばう様子もない。
抵抗も見せない。

