下駄箱で靴を履き変えて、真っ直ぐに教室に向かう。
「おっはよー!美紅」
廊下を歩いている途中、声をかけてきたのは、私の大親友。
安井 梨沙(やすい りさ)。
「おはよ。梨沙」
「ずっと待ってたよー!美紅が来るの」
「私が来るの待ってたの?」
学校に行けばすぐに会えるのに、待っていたというのは、どういうことだろう?
「ねぇ、翔吾くん、美紅」
梨沙の表情が、急に真剣なものに変わる。
「『アイノウタ』って……知ってる?」
「「愛の歌?」」
翔吾と、私の声が重なる。
それにしても、愛の歌?聞いたことがあるようなないような…。

