でも、
「でも、わかんないよ。私に聞かれても。私が知ってるわけないでしょ…?」
わかってて、聞いてるんだろうか。
「そう、だよね…ごめん」
俯く梨沙。
そういえば……
あんなもの背負ってて、怖くないのだろうか。
あんなもの?
あの女。
どこから縄で吊るされてるのか…どこまでも梨沙にくっついてる。
「どうしたの?美紅」
私の視線に気付いたのか、そちらに視線を向ける梨沙。
「梨沙は、怖くないの?これ」
言った瞬間。
梨沙は、は?という風に口を開けた。
「え?これを、ずっと怖がってたんじゃないの……?」
聞けば、曖昧に梨沙は頷く。
じゃあ、私が見てるものは何?
梨沙に見えていたものは、何?

