「……美紅、どうした?さっきからキョロキョロしてるみたいだけど」
翔吾が、私の梨沙を見たり周りを見渡したり、といった挙動不審に気付き、声をかけてくる。
「…ねぇ、翔吾。翔吾には、あれが見える?」
考えてみれば、翔吾は私と同じで梨沙にCDをもらってる。
状況的には、私と全く同じと言ってもいいはず。
だから、私は梨沙を指差して聞く。
「ん?あれって、どれだ?」
翔吾は、私の指差した方を見てくれたけど、やっぱりあの女は見えなかった。
「…なんでもないや」
見えないなら、仕方ない。
「そっか」
不思議そうな顔をしつつも、そう言って、自分の席に戻って行った。

