病院に着いて、翔吾の病室に入った。 翔吾は、窓を見つめていた。 「翔吾、来たよ」 ゆっくり、ゆっくりとこちらを振り向く翔吾の顔には、明るさがない。 ふと、周りを見わたすと、アイが高い位置から翔吾を見下ろしていた。 「まさか…」 いや、まさか。 アイを引き剥がした方法が、分かった気がした。 違うと思いたい。 信じたくない。 「美紅、屋上に行こうか」 「う、ん」 にっこりと微笑む顔は、何時もの翔吾の笑顔じゃない。 薄ら寒いものを感じた。