結局、何もできないまま。 リビングの時計が、午後8時を示す。 「美紅ー?ご飯よー」 いつも通り、お腹は減って。 というか、最早何もかも現実味を帯びていないから、全部作り話だと。 私は、勝手に思ってる。 それでいいと思う。 実際に、何もない。 梨沙の死を告げる声は聞こえない。 言葉もない。 だから、いいよね? 何も起こっていないと。 何も、変わりはしないと。