じわじわとした恐怖が、時間を曖昧にして、一秒すらも長く感じる。
スローになった意識の中で、ほんの少しだけ冷静な自分がいて、少しでも情報を集めようと視界を動かす。
轢かれるその瞬間に見えたのは、運転席に座ったアイだった。
周りの車が全て無人車にも関わらず、これだけは違っていた。
勢い良く、車が私の上をガタガタと走る。
その勢いと重みに、ぐちゃぐちゃに潰された。
真っ赤に染まった視界は、血で染まっているのか。
それとも、頭もぐちゃぐちゃにされたせいで色彩がおかしくなっているのか。
バキバキボキボキと嫌な音がして、骨という骨が折れて砕けて行く。
べちょべちょと生っぽい音がして、内臓が捻れ、千切れ、押し潰されて破裂する。
手の向きも、首の角度も、身体の位置も、私の思考も、全部全部おかしい。
それでも意識は残ったまま、生きているのかも死んでいるのかも分からない状態になる。

