「ってことで、これは没収ー!」
片手に持ったヘッドホンを高く掲げて、意地悪そうに笑う翔吾。
「えぇーー⁉︎そんなー」
文句を言ってみたりするけど、私は別にそこまで不満じゃない。
好きなアーティストの歌っていた歌だからなかなかやめられなかったけど、この一曲が終わればヘッドホンは外そうと思っていた。
「ちょっとは、彼氏の相手もしてくれよ」
ヘッドホンはそのまま翔吾の首元に持って行かれる。
背伸びをしたら届くかもしれないけど、158cmの私が180cmの翔吾の首元に手を伸ばそうと思えば、相当しんどいと思う。
それに、ヘッドホンを付けた翔吾もかっこいい。