視界が幾分かはっきりとしてきて、足元の辺りに池か、湖のようなものが広がっているのが分かった。
水面を挟んだ向かい側は、木々が生い茂っていて、こんな状況でもなく、薄気味悪い夜の森でも無ければ、散策したいぐらいの自然。
水面に写る背景も、まるで向こう岸と左右対称で造られているかのように、全く同じ景色が広がっていて、それが薄気味悪さに拍車を掛ける。
ペタリ…
嫌に冷たい手が、昨日掴まれた足首よりも上、ふくらはぎの辺りを掴む。
そして、そのまま。
ズルリ…ポッチャン!
水の中へと引き摺り込まれた。
『シネ。シネシネシネ。イヤ、シヨリモオソロシイメニアエバイイ…』
そばにあった草を掴んで、どうにか上半身は水の外に出すことができた。
けれど、その手を踏みつけて、血だらけの梨沙が微笑む。

