「あれ、翔吾?」
バスを降りて、翔吾の病室に向かう私の目の前を横切ったのは、よたよた、ふらふらと危なっかしく歩く翔吾。
「ん?おう、美紅」
私に気付いた翔吾は、壁にもたれかかって、私の方に視線を向ける。
「歩いて、大丈夫…なの?」
「あぁ、大丈夫だよ」
そう言う翔吾の顔色も良くて、無理している感じはない。
「でも、ふらふらしてるけど…?」
「……まぁ、それは、その…」
視線を泳がせる翔吾。
まだ、ちゃんとは歩けないみたい。
「…何で、そんなに辛そうなのに歩いてるの?」
これが、1番気になることでもある。
翔吾が、背中の痛みを我慢してまでここまで歩いてきた理由が分からない。

