アイノウタ~呪われたラブソング~




これは、どういうことだろう、と。




これは、一体何なんだろう、と。




「もぅ…なんなのよ、これ…」




夢にしては嫌にリアルで、現実味があって、現実にも反映された。




眠ったはずなのに、疲れは全く取れていない。



あれが夢でなければ当然のことで、でもそれを夢で無いと認めたくないわけで。



似たようなことを、同じようなことを、延々と。

留まることも、止まることもなく、考え続ける。




『…ぅあ…あぁぁ…ぅゔ…あぁ…』




「…?」



私の思考を止めるように、部屋の至る所から呻き声が聞こえた。




「な、何?」




挙動不審に、辺りをキョロキョロと見渡す。




声の主は、見当たらない。




ぐっと目を瞑って、深呼吸。



吸って吐いて吸って吐いて。



呻き声だけなのに。



姿は見えないのに。



人間はどうして、姿の見えないもののことを怖がるのか。




恐怖で、息があまり吸えなかった。