アイノウタ~呪われたラブソング~




思考はまだ、黒いままだ。




「ただいま、お母さん」



今にも飛び出しそうな黒い塊を呑み込んで、知らないふりをする。



扉を開けて出てきた優しい笑顔をしたお母さんを見て、泣き出しそうになる。



どうして、こんなことになったのだろうと。



どうして、自分が怖い思いをしそうになると誰かを犠牲にしてでも助かりたいと思うのだろうと。



「美紅?」



涙を堪えて、飛び出しそうな塊を呑み込んで、黙り込む私に心配そうな顔をしたお母さんが声をかける。



「なんでもないよ」



安心させるように微笑んだ。



「そう、それならいいのよ」



まだ心配そうな顔のまま、納得がいかなさそうに眉を顰めるお母さんに、もう一度笑かけて、自分の部屋に行った。