もう一度、翔吾の顔を見て、私は家に帰ることにした。
本当は、翔吾のそばにいたい。
だけど、深月さんと話している間に大分時間が経っていた上、お母さんを心配させる訳にはいかない。
「深月さん、失礼しますね」
「えぇ。また来てあげて。翔吾、喜ぶわ」
「はい」
一礼して、病院を出た。
バス停でバスを待つ。
雨は、相変わらず降っていた。
上から降る雨が、上から降ってきた血を連想させる。
くる時とは違って、すぐに来たバスに乗り込む。
くる時とは違う運転手が、私が乗るのを見て扉を閉めた。
客は、行きと同じ私一人。
静かな車内に、窓に当たる雫の音だけが響いていた。

