長いこと待って、ようやく来たバスに乗り込む。
客はいない。
バスには、運転手しか乗っていない。
特に気にすることなく、一番手前の席に乗った。
雨のせいか、窓側に当たる体の左側がすごく冷たい。
地面に当たって跳ねる雨が、弾けて消える。
窓に当たる雨の音が耳に心地良い。
丘の上までは、そこまで遠くないけど、所々止まるバスでの移動は時間がかかった。
視界の端を移り行く景色は、いつの間にかどしゃ降りになった雨で遮られて見えない。
ぼんやりとした意識で、アイノウタのことを考える。
アイノウタは、一体何の為に歌われたのか。
何故、人を呪うのか。
「ねぇ、アイ。私にくっ付いているっていうのなら、教えてよ。どうして?あなたは、どうして、こんなことをするの。メリットは?目的は?ねぇ…教えてよ」
もちろん、返事なんて返ってこない。
私の言葉は一方通行で、私に取り憑くアイのキイテという言葉も一方通行。
どちらも、どちらもの言葉を聞かない。
「はぁー」

