『あなたのことが


好きで好きで


仕方ないの


私の想いは…』



「美紅!」



淡い恋を歌っていたラブソングの流れる赤と黒のヘッドホンを取られて、振り向いた。



「翔吾。なぁに?」



振り向けば、数日前から私の彼氏になった、樋川 翔吾(ひがわ しょうご)が私から取ったヘッドホンを片手に、眉間にシワを寄せて立っていた。



「全く。彼氏と一緒に登校してるくせに、何一人の世界に浸かってんだよ。美紅」


鮎川 美紅(あゆかわ みく)。

それが、私の名前。