彪河は怒りで震え、眉間に思いきり皺を寄せた。

愛華は彪河の胸倉を掴む力を強め、はっきりとした口調で言った。


「嗚呼、何度でも言ってやるよ!!テメェには、恋愛する資格なんてねぇんだ。お前みたいな奴は、本当に好きな女には、相手にされねぇ……本当の恋愛なんて出来ねぇんだよ!!!」



ぐいっっ



愛華の腕が、彪河に掴まれる。

思いきり引きはがされると、体育館の壁に、ダンッと押さえ付けられた。


「お前に何が解んだよ!!俺は……嘘なんかついてねぇんだよ…っ」



そして………


「…んんっ………」



彪河は愛華の唇に、強引に自分の唇を重ねた。

キスは激しさを増す。

無理矢理、愛華の唇を割って入る、彪河の熱い舌。

逃げ惑う愛華の舌を、追い掛けては、捕まえて逃がさない。


愛華は、彪河の力が強すぎて、抵抗する事が出来ない。

彪河を押し退けようとしても、愛華の腕は、彪河に思いきり掴まれていて、力を入れることすら容易ではない。


「あっ……はぁっ………」


余りの激しさに、愛華は呼吸が上手く出来ず、時々離される唇から、いやらしい喘ぎ声しか出せなくなっていた。



唇が離れ、彪河の力が弱まった。

それを見計らって愛華は、彪河の肩を勢いよく突き飛ばした。


「離せっ!!」


解放された愛華の瞳には、大粒の涙が溢れていた。

倒れ込む彪河を睨み付けて、愛華は思いきり吐き捨てた。


「最っ低……ふざけんな!!」


走り去る愛華。しゃがみ込む彪河は、今だに残る、愛華の唇や舌の感触を悩ましく感じていた……。


「俺………何やってんだよっ」