キッ…と彪河を睨み続ける。

でも彪河は、何一つ言葉を発しようとしない。

苛立った愛華は、彪河の胸倉を掴んで、精一杯怒りを抑えて、彪河に問い質した。


「……何か言ったらどうなんだよ…」


「…………ったんだよ」

「はぁ?」


ボソッと彪河は喋ったが、声が小さすぎて、何を言ったか聞き取れなかった。


「何言ってんのか、聞こえねぇよ!!」


「ウザかったんだよ!!!」


いきなり彪河が大きな声を上げた。

一瞬愛華も、ビクッと肩をならしたが、何事もなかったかのように、微動だにせず会話を続けた。


「何がウザかったっていうんだよ」

「あの女がに決まってんだろ。何かあるたび、『私が一番だよね』とか聞いてきて。正直、あいつの事なんて、どうでも良かったんだよ!だから、簡単に諦めるように、愛華の名前使った」


この言葉で、愛華の怒りは爆発した。

我慢していたモノが、一気に噴き出す。


「ふざけんなっ!テメェが女を取っ替え引っ替え出来るからって、何時までも調子にのってんじゃねぇぞ!?たいして興味もねぇんなら、簡単に手出してんじゃねぇよ!」


「うるせぇ!!テメェにとやかく言われる筋合いねぇって言ってんだろ!!」


「黙れよ!!その女傷付けて、アタシにまで被害加えやがって……お前みたいな奴、恋愛する資格なんてねぇんだよ!!」


そこで、ブツン…と会話が途切れた。

今までの空気が、より緊張したモノとなる。


「テメェ……もう一回言ってみろよ……」