大嫌いな最愛の彼氏【短編】

愛華は視線を感じ、後ろを振り返る。


「……何だよ?」

「いや、話があるんだけど…」


う〜ん…と考える彪河。

愛華はその場に居る事が、苦痛になって、階段を上り始めた。


「おいっ……愛華!?」

「着替えてくんの、見にくんなよ?」

「わ………解ってるよ」


つんっと身を翻して、自分の部屋へと入っていった愛華。

あんな事を言われた男二人は、何となく複雑な気分になった。


「愛華の着替えなんて、見に行かないよなぁ?」


鎌樹は彪河に問い掛けた。


「いや……俺はちょっと…」

「あ、そっかぁ…」


鎌樹と彪河の会話?

嗚呼…男同士の会話なので、気にしないであげて下さい…。





30分後………。

愛華は髪やメイクをバッチリセットして、リビングに戻って来た。


「あれ、お前制服は?」

「今日は、学校行かねぇ」


そう言った愛華の服装は、露出の多い黒のベアトップに、グレーのスエットのズボンを履いている。


「あのなぁ…だからってその格好はねぇだろ……」

「はぁ?何でそこまで言われなきゃなんねぇんだよ…」


はぁ…と小さな溜息をついて、愛華はソファーに身を投げる。


「で…話って?何?」


立ち尽くす鎌樹と彪河に、愛華が問う。

その発言に、一瞬だけ顔をしかめて、鎌樹と彪河はお互い頷き合い、口を開いた。


「俺は、上に居るから。愛華と彪河、二人でちゃんと話し合えよ……。」


そうして鎌樹は、二階にある自分の部屋に行ってしまった。