大嫌いな最愛の彼氏【短編】

翌日――…。

愛華が目覚めたのは、まだ太陽の光が弱い朝方だった。

でも、下の階はとても慌ただしかった。

不思議に思った愛華は、下に下りて、リビングを覗く。

でもその瞬間、腰が抜けそうになった。


「な……何でいんだよ!?」


そこには、今一番逢いたくない……彪河の姿があった。

彪河はまだ愛華に気がついていない。


「ぅわっ!?愛華!何でもう起きてくるんだよ!?」


鎌樹がドタバタと愛華に駆け寄って来た。


「うるさいっ!てか何で彪河がいんのかって聞いてんだよ!」

「あっ……それは…」


しどろもどろする鎌樹。愛華と彪河を交互に見る。


「…アタシと彪河がなんなんだよ」

「あっ…いやぁ〜何でもねぇよ!」


やり取りは続く。でも、そんな会話は、奴によって遮られた。


「鎌樹?何して……あ゙!?愛華…?何でここにいんだよ…って……え?」


彪河は愛華と鎌樹を見比べる。そして、まさか…というような顔で呟いた。


「まさか…お前ら、双子とか?」


その発言に、愛華は思いきり鎌樹を睨み付けた。


「鎌樹…テメェ、何で言ってねぇんだよ?」

「ごめんっ!つか、気付かねぇとは思わなかったんだよ!」


『マジ有り得ねぇ…』と愛華は、チッと舌打ちをし、そっぽを向いた。


「鎌樹……どういう意味だよ?」

「はぁ…そうだよ。俺と愛華は双子なの。俺の方が兄貴なんだけど」

「何で言わねかったんだよ…」

「別に秘密にしてた訳じゃねぇよ!つか、気がついてると思ったし…。まぁ、その話はいいから。お前は愛華と話し合えよ」


鎌樹は愛華に瞳を向ける。彪河も愛華を見た。