私は怖くて声が出なかった。
「車こっちだから!」
「えっ」
怖い、怖い怖い。
手をグイッと引っ張られて、車まで連れていかれた。
「ほら、乗って」
「ゃだ…」
「は?」
「嫌だ!嫌だ!」
怖いっ、
でも、きっと航平は来ない。
だって、私なんかより部活が大事なんだもん。
航平…、
航平…、
「…っ、航平!助けてっ!」
だけど、航平に助けてほしかったんだ。
私は少しの望みに賭けてギュッと目を閉じて叫んだ。
「待たせたな」
すると、
掴まれていた手が離されて、
目を開くと
倒れているチャラい男たちと
汗をかいて、少し呼吸が乱れている航平が目に映った。

