君影草

それと同時に結衣がいつ目覚めるかわからない、その途方もない絶望

何が一番いい道なのかわからなくなっている自分が居る

「北河はどうしたいんだ」

責めるでもなく、ただ確認するという口調で医師が言葉をつむぐ

「今、今結衣を諦めたら絶対後悔すると思う」

「だったら気のすむまで待てばいいさ」

そう簡単なことでもないのだが、そう思って振り返ると

「言ったろう?誰も責めやしない。後悔しながら先に進んだって何も見えてなんて来ないさ」

それに、

「腹を括ったんだろう?」

ふと口角を上げる医師に、一年半前に交わした言葉を思い出す

「そうですね」

小さく微笑む北河の瞳は、もう一度結衣を捕える

その瞳には、いつになく優しく強い光があった