「ああ、特に意識してるわけじゃないけど、気が付くとここに座ってるんだよね」

まあ、日当たりがよくていい席だけど

北河の返答にくすくすと楽しそうに笑う奈々絵とともに近くにあった空いている席に腰かける

「少なくともここ一、二か月はいつもここに座ってますよ」

奈々絵の言葉に少し驚いたように瞳を大きくする北河

「あっと、その、いつも見てますから」

顔を真っ赤にして告げる奈々絵

さすがに鈍いと唄われる北河でもここまで言われて気が付かないほどではない

これはどうしたものか

ふと脳裏によぎった彼女の笑顔とこの間告げられた言葉に北河は一人瞳を細める

「あ、あのあんまり気にしないで下さい。それより、食べましょ。冷めちゃいますよ」

黙り込んだ北河に焦ったように声をかけてランチに手を付ける奈々絵に頷き返し、

北河も栄養を考えられた色とりどりのランチをつまむ

でも、頭の中はぐるぐると混ぜっ返されたままだった