君のイナイ季節

「拓海くん、ほら見て〜!」

私は綺麗な桜色の貝殻を見つけた。

あまりにも可愛かったので駆け足でそこに行って拾い上げる。

そして笑った。

拓海くんも私を見て微笑む。

少し長めの髪が太陽の光に当たってキラキラしているのが見える。

笑った拓海くんの顔と相重なって…

カッコイイなあ、なんて思っていたら。

「何、見惚れてるの?」

と、額を人差し指で突かれた。

私は耳まで赤くなるのがわかる。

「い…いいじゃない。
カッコイイから見ていただけなのに」

「真由ちゃん、平気でそんな事言うから、たまにこっちが恥ずかしくなる」

拓海くんはそう言うとぷいと背中を向けた。