君のイナイ季節

その後、かれんに教えてもらったイタリア料理のお店に行き、ランチ。

さっき、会場を後にする前に沙織さんから渡された写真の数々を見てみることに。

「綺麗ね」

拓海くんの、本当に一瞬の煌めきを撮っていた。

「うん、昔から写真を撮ってくれていて、信頼出来る人かな」

「そうなんだ」

「うん。いつも応援してくれるから頑張ろうって思うし、いつかそういう人達の為に有名になって、そういう想いに応えたいって思うんだけど、なかなか難しいね」

と言って苦笑いをした。

「でも、拓海くんはいつかきっと世界に行けると思うよ」

拓海くんはその言葉に一瞬戸惑いの表情を浮かべ

「なんで、行きたいってわかったの?」

「雑誌で読んだから」

多分、私は今、すごく切ない顔をしていると思う。

『きっと、行くときは寂しくて泣いてしまう』

こんな事は絶対に言えない。

私は無理に笑みを作って笑ってみせた。