君のイナイ季節

「お久しぶりです。今回の写真展、おめでとうございます」

拓海くんは頭を下げた。

「ありがとうー」

その女性も頭を下げた。

「そちらは彼女?」

優しい笑みがこちらに向けられる。

私はドキドキしながら

「平野真由です」

と頭を下げた。

「来てくれてありがとう、真由ちゃん。私は和泉沙織と言います」

沙織さんは手を差し出した。

私も差し出して握手をする。

話を聞くと沙織さんは最近、ようやく世間に認められつつあるカメラマンで拓海くんは小さい時からバイクに乗っている姿を撮影していたんだって。

他のライダーも撮るけど、圧倒されるのは拓海くんのライディングだと言っていた。

「せっかくだから、二人の写真、撮っていい?」

沙織さんの、申し出に私達は顔を見合わせた。

「いいですよ」

私達は拓海くんのパネル前で写真を撮ってもらった。

「また二人に写真を渡すわね」

沙織さんは優しく笑ってくれた。

そして拓海くんに

「なかなか可愛い女の子じゃない。大切にしなさいよ〜」

と言って拓海くんの背中を叩いた。



私は照れて下を向いた。