君のイナイ季節

「真由ちゃん!」

ピットに戻って来た拓海くんはヘルメットを取るなりこちらを向いて叫んだ。

私は笑って手を振る。

「まさか来るなんてそんな事、全然思ってなかったから」

驚きながらも嬉しそうに拓海くんはレーシングスーツの上を脱ぎながらこちらに歩いてきた。

「パパと一緒に来たの」

チラッとパパを見た。
拓海くんも視線をそちらに向けて軽く会釈をする。

「…そっか」

拓海くんはにっこりと優しく笑っていた。

その笑顔が印象的で。

思わずときめいてしまったのはここだけの話。

見慣れないレーシングスーツ姿に私はドキドキしている。

ヘルメットでくしゃくしゃになった髪の毛を手で直し、私を見て微笑む。

うわ…

かっこよすぎて。

目眩が…