君のイナイ季節

「手取り足取り教えてあげるよ〜!」

そう言って拓海くんは私の体をギュッと抱きしめる。

いつもより少し力強い気がした。

「…拓海くん?」

「ごめん、今日は出来るだけ離れたくないんだ」

そう言って拓海くんは私を抱く力を更に強くした。

私も背中に回した腕に力を入れる。

この身体の温かさ。

この手の温もり。

そして、いつも私を優しく見つめてくれる目。

今日の拓海くんの一つ一つの仕草が私の頭に刻まれるように、スローモーションで見える。

いつも、こういう時はドキドキしてしまうけど。

今日はそのドキドキが酷いみたい。

拓海くんと肌を合わせていて、何故か涙が止まらなかった。



なんで、こんなに涙が出るんだろう…