ニッと笑った龍くんの白い歯が闇に浮き上がって見えた。
「そんなガキだなんて…高校生でも龍くんはとっても大人だよ。私なんかよりずっと」
付き合い始めた頃からずっとそう思ってた。そう私なんかよりもずっと………
「私なんか要領悪いし不器用だし何の取り柄もない……今日だって私がもう少し何とかできれば誰にも迷惑かけないでこなせたかもしれないのに…あっでも結局龍くんには迷惑かけちゃうし……どうしてたら………」
頭が混乱してきた。やっぱり何をどう考えても誰かしらに嫌な思いさせちゃうじゃない。
しばし沈黙………………………その後。
「クスクス♪」
「!?」
あっ、いけない忘れてた!あぁダメだ。夢中になると周りの事忘れちゃう。
「ご、ごめんなさい」
「南ちゃんってバカみたいに真面目だね」
「なっ……?」
ぽっけで暖められた龍くんの大きな手が私の手をとると、そのままゆっくり歩き出す。右斜め前にはカーキのジャケットを羽織った龍くんの背中。
「自分のことはそっちのけで、いつも他人を優先させて……ホント真面目で馬鹿正直。でも好き」
「え?なぁに?」
「そんな南ちゃんが大好きだって言ってんの!」
冬の冷気によって澄み切った星空に向かっての告白。
その声が辺りに響いて一瞬慌てたけど…………凄く嬉しい。こんな私でも好きって言ってくれる人がいるってだけで、充分。これ以上何か望んだらバチが当たっちゃうよ。
「見た目うんぬんが問題じゃない。もちろん南ちゃん可愛いよ。でも大事なのは中身と心」
「中身と心……」
「そ!俺は南ちゃんにヤバいぐらい魅力感じてるから。他の子なんか目に入らないくらいさ♪」
わ~っ!そんな色っぽい目で見ないでっ!顔がほてる。赤くなってる絶対。恥ずかしくて視線を逸らしたまま足下を見てるしかなかった。


