高校生彼氏

「ま、まぁね。璃乃さんは……ね」






うっ………チラ見する先輩方の視線が痛いです。
そりゃぁ………自分でも分かってますけど。




「じゃあ璃乃さんお願いしますね」
「はい」








一緒に更衣室で着替えてる時、璃乃さんが教えてくれました。


龍くん、璃乃さんの彼の携帯に電話して『二日続けて夜勤なんてありなんですか!?』って聞いたんだって。『そんなの有り得ないからすぐ婦長に確認したの。そしたら本当に入ってるんだもんビックリしちゃった』と璃乃さん。





「私しか替われないから……しかたないです」




ほんとは私だって龍くんとの約束を優先したかった。でも……強く言えない。できれば人を傷つけるようなことはしたくないから。
でも………







「私の要領が悪いせいで璃乃さんを巻き込んで迷惑かけてしまって………本当にごめんなさい。彼にも悪い事しちゃいましたね」




一足先に着替え終わった璃乃さんがクスクス笑ってる。嫌味な笑いじゃなく本当に天使みたい。女の私でも魅力を感じるもの。






「私はいいの!昨日はずっと一緒にいたんだし……彼も、ライトもそうしろって言ってくれてるし。それにね………」




グレーのチュニックに着替えた私の肩にポンと璃乃さんの小さい手が乗せられる。




「一人で頑張らなくていいのよ?遠慮しないでどんどん甘えてね♪」










-一人で頑張らなくていい?………-







私昔からずっと一人で何でもこなそうとしてきた。重い物を持ってても高い所の物を取ろうとしてても男の子は『お前なら一人でも大丈夫』って。
女の子達は『私達用事あるから掃除当番一人で大丈夫だよね』って日直も係も先生の雑用も…いつの間にか一人でするのが当たり前になってた。私こんな体型だし、守ってあげたくなる容姿じゃないから。諦めにも似た気持ちはずっとあったの。