高校生彼氏





「片岡くんは璃乃さんが好きなんだよね?ずっと待ってたのは璃乃さんなんじゃないの?」





ええっ!もしかしたらさっきの気にしてる?途中から音声無しで見てたら引き寄せて抱き締めたってことになるわけ!?
俺の顔色でやっぱりそうだと判断したのかへへっと笑ってハンカチを差し出してくれた。






「親友の彼女に片思い……辛い恋ですね。でも残念ながら私彼氏いない歴20年だから…そういう相談にいいアドバイスなんかできませんよ?でも私ナイスタイミングで登場?少しは役に立てたのかな」






完全に勘違い。まさか自分の事が好きなんて思いも寄らないんだろうな。






「もう璃乃さん帰りましたからいいですよ。あ、この傘使って下さい。私病院の置き傘あるから……」
「………うよ」
「え?」
「違うよ。俺が六時間も待ってたのは……南さんだから」







気付いたら……抱き締めてた。この前より少し細いでもフワフワの体。シャンプーのいい匂い。







「好きなんだ」






もう気持ちを止められなかった。違う人を好きだなんて思われたくない。






「入院してる時から気になってた。会えなくなって毎日考えてた。片時も頭から離れない。それくらい…」
「止めてっ!!」






渾身の力で突き飛ばされた。震えてる。俺の事そんなに嫌いなの?





「からかうのやめて下さい!何かの遊び?それとも馬鹿にしてるの!?」
「……っ、なんでそういう風に思うんだよ!」
「だってっ……私ブスだし太ってるし今までだって何回もからかわれた!片岡くんみたいな素敵な人が本気でそんな事言う訳ない!」




悔しかった。本気にして貰えなかった事。でもそれ以上に彼女が負った心の傷が悲しかった。






「俺、南さんのこと好きになっちゃいけないの?過去の馬鹿な男と一緒にされたくねーよ。本気じゃなきゃ六時間も待たない!」