「ちゃんと分かるように説明して貰いましょうか」





自分の立場も忘れて若干キレ気味な私。そりゃそうでしょうよ。付き合ってだいぶ経つのにそんなの全然知らされてなかったんだから。




「アキノごめんて…」「あら私は璃乃さんのいろんな面を観察で来てよかったけど?」
「おい、おふくろあんま煽るなって」






しれ~っとしてる婦長の様子にライトがたしなめる。こうして改めて見ると………目元とかまぁ似てるっちゃー似てるわね。





「でも婦長の名前水谷じゃないですよね」






胸に付いてるプレートには『相模』の文字。だからライトのお母さんなんてちっとも気付かなかったんだもん。





「いやぁね。これは旧姓よ?結婚してもそのまま使ってたの。古株の人達はみんな知ってるわよ」
「そうですか……」
「それに随分前から璃乃さんが息子の彼女だって知ってたの。部屋に写真が飾ってあったの見つけてね」
「わっ、言うなって!」





私ってばすっかり騙されて婦長の前で数々の醜態さらしちゃって………ううっ、認めて貰えなかったらどうしよう。




「私もね……」



婦長が私の手を取る。あったかい手……





「璃乃さんと一緒なのよ」
「婦長?」
「大昔の話なんだけど聞いてくれる?」
「はい……」






遠くを見るようにゆっくり話し出す。何かを思い出すように……






「私も高校生と付き合った事あるのよ」
「え?」
「ふふっ。出会った当時私は24歳、彼は……16歳」





うそっ…八歳……年上!?





「まったく親子揃って年上のナースと付き合うなんて…血筋よね」




隣りでライトが『うっせーよ。エロ親父と一緒にすんな』って反発しちゃってる。





「そりゃぁ色々あったし、別れようかって何度も思ったけど……忘れようと思っても彼の事大好きだから無理だったわ」