-バンっ!-









「アキノ!」









急に開けられた戸の音にびっくりして顔を向けると……そこには愛しいあの人が立っていた。




「良かった……良かった」






忘れなきゃと思っても忘れられないあの声。あぁライトの声だ…。




ベッドの脇に寄って来てそっと手を握ってくれる。あったかい大きな手。







「ライト………」
「ごめん。俺がちゃんと側に居ればこんな事になんなかったのに」
「なんでここに来たの?私達別れたんじゃ………」






ピタリとライトが固まるのがわかった。取りあえず心配で来てくれたにすぎないの?またラブちゃんの元に戻っちゃうの?






「あのさぁ。俺別れるって言ったか?」
「え………」





ライトはしゃがんでそっと両手で包み込んだ私の手の指にチュッと唇を寄せた。








「言わなかったっけ?ずっと大切にするからって…」
「でも………」
「ねぇアキノはさ。いつになったら俺の事信じてくれるの?」
「信じる?」




私そんなにライトの事疑ってたっけ?





「俺たち付き合いだしてから結構経つけどさ。何かしら疑ってたでしょ」
「そんなこと…」






そんなことないって言い切れなかった。ライトは最初からそんな私の気持ち見抜いてたんだ。





「でもそうさせてたのは俺だから。アキノは悪くない。みんな俺のせい…女一人まともに守れなくてほんとごめん」





辛そうに眉間にしわを寄せてる。そんなライトの顔を見るのがたまらなく切なくて…涙が零れる。ライトの気持ち、まだ私から離れてないって思ってもいいの?








「アキノをそんなに不安にさせてる事ってなに?胃に穴開くくらい溜め込んでるもの。俺に教えて」







優しく頭を撫でてくれるライトの手。顔が近い。なんか何年かぶりに見た気分。ドキドキするな………