はたと目が合う。ちょっと間を置いて、なんで私の部屋にいるかベッドじゃなくソファーにいるか、思い出したみたい。
ガバッと毛布をはねのけると急に泣きそうな顔に。それを見て不覚にも私の胸がきゅぅんと音を立てる。





「アキノ…アキノごめんね。ほんと嫌な思いさせた。全部俺が悪いんだ」






そんな目で見つめないでよ。全てを許してしまいそうになる。どっちか選べって言ったら別れを切り出されるのは私に決まってる。前彼の時みたいに捨てられる。そんなくらいなら見なかったことにした方がいいのかも…そんな事が頭をよぎった。




「ライト昨日………」

「すぐ帰って来たよ。でもアキノ眠ってたし…疲れてるんだろうなって。なのに俺の為に時間作ってくれたのに……」

「ラブちゃん……」






あ……つい口を付いて出てしまった。この名前は今は言ったらいけなかったのかもしれない。サッとライトの顔色が変わるのがわかった。




「アキノ…昨日からなんでそんなにラブにつっかかってんの?」





呼び捨て………なんだ。
私が何か勘ぐってるのに気付いたみたい。いつもの心の中を見透かすような視線。







「可愛い娘だよね。男の子なら放っておかないくらい」






見られたくなくて思ってもいない事を口にしてしまう。







「なんかライトの事好きみたいだし」





-違う、私のものなの!-





「あんなに密着されてライトも満更じゃなかったでしょ」





-お願いだから私を見捨てないで!-




そして私は一番言ってはいけない致命的な一言を発してしまった。




「2人はお似合いだよ」





ライトの眉がピクリと動いた。ワシワシと髪を乱す。イラついてる時のライトの癖……




「分かった」
「え…」



ゆっくり立ち上がったライトはソファーの脇にあった学生鞄を掴む。そしてそのまま何も言わず出て行ってしまった………