―プシューっ……―







電車を降りてからもさっきの言葉達が耳からはなれない。






気付けば彼等も同じ駅で降りていた。私のことなんか知る訳ないのに後ろを歩いてる事さえ気まずい。





「アイツ随分落ち着いちゃったよなぁ」
「そうなの~。つまんないんだよぅ」
「おっ、ラブはライトの事お気に入りだもんなぁ」





ラブ!?この娘が?
付き合い始めの頃愛って書いてラブって読む娘がいるって言ってた。
栗色の髪は軽く巻いていて、色白の小顔で目が大きくて……なんと言っても若い。多分ライトと並ぶと絵になるくらいお似合い……





「うん。優しくて頭良くて格好いいんだもん♪」




ヤダヤダ。胸の中がモヤモヤする。嫉妬?ヤキモチ?こんなの聞きたい訳じゃないのに………




「って噂をすればあそこにいんのライトじゃね?」




一人の子が指差した先には大きな柱に寄り掛かったライトの姿。

「ホントだ♪ライト~!!」

一足先にライトに駆け寄って腰に飛び付くラブちゃん。あ~……そんなに密着されてもライトは拒まないのか。目の前に居る男の子が大きくて隠れる形になってる私にはまだ気付いてない。




「おー、先帰ったと思ったら待ち合わせかよ?」
「まぁな」
「うちら今からカラオケ~☆ライトも一緒行こうよぉ」
「だ~め。お前らみたく暇じゃないの!」




男の子達の隙間から腰にくっついたラブちゃんの頭に乗せた手が見える。楽しそうに皆とじゃれ合うライト。何だかすごく遠い存在に感じる―――――







-それしてくれるの私だけじゃないんだ………-



その大きくてあったかい手に癒されて何度も助けられた。失敗して落ち込んでる時、疲れてイラついてる時…でも他にもその手を知ってる娘、いるんじゃん。





視界がかすむ。ダメ、こんなとこで泣いてらんない。子供じゃないんだから。高校生と違うんだから………