「…………いい」






ギョッとした。




にこっと微笑むアキノを見て、トムのまなざしがハートになってるじゃねーか!






野郎共に愛想振りまいてんじゃねーよ。ちくしょう!







「ダーメ」





そう思ったら体が勝手に動いてた。先導するその小さな背中をこの腕の中に納めていた。フワフワの体、相変わらずいい匂い…………
その幸せもトムの拳骨に打ち砕かれたけど。




一応俺のもんだって宣言したけど、アキノの『シー……』のポーズに完全にハートをぶち抜かれたトムのだらしない顔。






気分悪い。ムカつく。
なんでこんな敵作らなきゃいかんのよ。年齢的に釣り合うのはトムのほう。公務員のトムと比べたら学生で親のスネかじってる俺のが分が悪い。アキノに年の差気にしないって言っておきながら自分がしっかり気にしてんじゃん。カッコ悪りぃ……





だから病室入る時ヒップタッチしてやった。誰かに見られるとまずいからって焦ってたけど、あいつは俺のもの。誰にも渡さない。


俺のそんな気持ちに気付いたのか、満面の笑顔をくれた。胸がキュンとする。ヤバい。夜まで我慢できっかな………









アキノが去った病室内。龍弥も昨日手術した割に元気っぽかった。



「元気そうじゃん。良かったな大した事なくて」
「まぁな。あ、見舞いサンキューな」
「おぅ」




龍弥何だか機嫌がいい。





「なぁさっきの看護婦見た?超可愛いくね?優しいんだけど叱るとこ叱ってくれるしさぁ。グッとくるんだよな」





-ガクッ……-








龍弥お前もかよ~。なんでそんなに見境なく愛想振りまいてんだよ~……






「龍~ダメ。さっきのナースライトの彼女なの」
「は?マジで?」
「マジで。な、ライト?」
「マジだよっ。だから頼むから誰もちょっかいかけないでくれよ?」






俺の切実な願いも空しくみんなしてニヤニヤ。