-コンコン……-






「検温してましたか~?片岡くん、具合はどう?」
「…………あぁ!昨日の?お姉さん看護婦さんだったんだ」
「そう。ちょうど出勤途中だったの。片岡くんの搬送先が自分の勤務先なのは偶然だったけどね………はい、血圧測りますね」




翌朝、さすがの若さでICUから出た例の片岡くんは午前中には私がいる病棟の回復室に移った。
昨日は分からなかったけど、笑顔が爽やかな男の子だ。さすが、ライトが言うように今時の高校生のレベル高し………。





「いや~昨日のはマジでヤバかった。朝方から痛かったんだけどまさか盲腸だとはね~」
「もぅ、人事じゃないのよ?我慢して腹膜炎なんか併発したら一週間で済まされないんだから」
「は~い、ごめんなさい………」





元気とは言ってもまだ体は回復途中。片岡くんはウトウトし始めた。
手早く点滴を取り替えて部屋を出る。
これから引継ぎをして、日報を書いて雑務を済ませたらあとは帰れる。夕方ライトが帰宅するまで少し寝ようかな…………。







-どこだよ。516って~-
-こっちじゃねぇの?-





曲がり角の向こうでワイワイ声が近付いてくる。誰かのお見舞いかしら。




「あ………」
「おっ…と。あ、看護婦さん516ってどこ?」
「こらっ!そんな口の聞き方………」





目の前に現れたのは私より随分大きい男子高校生達。一緒に居る私より少し年上かな?ジャージを着て居る人は先生だろう。
その制服を見て誰のお見舞いだかすぐ分かった。





「片岡くんのお見舞いですね?こちらです。でもまだ体調戻ってないから……少しだけですよ」





にこっと笑顔を向ける。やっぱり制服姿は新鮮だし懐かしい。私にもこういう時あったなぁ…… 。
病室に案内しようとクルッと元来た廊下を戻ろうとした時だった。




「ダ~メ」
「きゃ……」




後ろからフワッと体に回される腕。