-騒がしいな…なんだろ……-





駅前のバス停付近に人だかり。近くの通行人の会話が耳に入る。





「なんかバスの中で倒れたんだって………高校生みたい。制服着てたし」






-病人!?-




無意識に人だかりに足が向く。
隙間をかいくぐり、一番前に出るとバスの中から『大丈夫!?大丈夫!?』と聞こえてくる。


考える間もなく体が動く。バスに乗り込むと真ん中辺りの椅子に座って蹲る男の子に二人のおばさんがしきりに声を掛けてる。
運転手さんもどうしていいか分からずオロオロ………



「どうしましたか!?」



慌てて声を掛けると皆一斉に振り向いた。



「私、〇〇病院で看護師してます!」





証明証を見せると運転手さんのほっとした顔。




「急に痛がり出したんです」
「救急車は?」
「連絡しました」





『わかりました』と頷いて、男の子に近寄る。
脂汗をかいて意識が朦朧としてる。あ、ライトと同じ制服だ………




「大丈夫?痛いのはどこ?」
「…………腹」





虫垂炎?潰瘍?こんなに痛むなら手術になるかも………




「あなたT大附属よね。学生証出せる?学校と親御さんに連絡取らなきゃ」





なんとか胸ポケットから出した学生証を見る。




-片岡龍弥、三年……ライトと同じだ-






「看護婦さん救急車来たよ!」
「大丈夫だからしっかり!」




患者を励まして一旦外に出る。

救急隊員に状況を説明した。偶然搬送先は私が勤務してるとこ。一緒に乗って行くことにした。
急ぎだから学校と自宅にTELする暇はなさそう。
取りあえずライトの携帯にコールした。





『もしもし?』
「ライト?あのね、緊急なんだけど、片岡龍弥君て知ってる?」
『龍弥?同じクラスだけど……なんで?』
「よかった。今その子救急車でうちの病院に搬送するから担任の先生と親御さんに連絡して!」