キスなんかしなれてるのに不意をつかれたせいか顔が真っ赤になっちゃってる。






「じゃ仕事行くね。今日も頑張れそう♪」
「…………俺ヤバい」
「なんでよ。キスって元気でない?」






脱力~って感じでしゃがみ込んじゃったライト。




「元気出過ぎて…………ヤバい。明日の夜まで待てないかも」
「ええっ、ごめん!なんかあおっちゃったね」
「もう俺のことはいいから行っちゃって………」
「そっかぁ。じゃ行ってきますのチューは無理だね。残念」
「…………」
「アハハ♪行ってきま~す」







そんなライトを置き去りにして玄関でサンダルに足を滑り込ませてさて行くかと戸に手を掛けたその時、ツンっと何が引っ掛かる。振りむくとカーディガンの裾を掴んでるライト。








「……………やっぱりする」
「ん?あぁ、大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないけど……しないと俺ガッコ行けない」
「ハイハイ♪」





大人っぽい容姿とこうやって拗ねたような甘えたような態度が絶妙なんだよね。






ヒールが高いサンダル履いても全然ライトの背には届かない。思いっきり背伸びをして目をつぶる。
背中と頬に触れる手、そして重なる唇。ライトの唇はちょっぴり熱くて柔らかい私が大好きな感触。






「行ってきます」
「頑張って」
「時間見てメールするから」
「うん、待ってる」





いつもの別れの挨拶。後ろ髪引かれる思いでアパートを後にする。
仕事はきついけど、こうやって待っててくれる人が居るとどんな事も頑張れる気がする。



「さぁて、頑張るかぁ」



初夏の青空を見上げて深い深呼吸を一つすると、早足で駅に向かった―――――