その肝心の挙式は実は今週末に控えていた。待ちに待ったライトとの結婚。妊娠がわかった時は凄く嬉しかった。私とライトの赤ちゃん。もちろんライトも喜んでくれた。『順番間違っちゃったな』って照れながら抱き締めてくれたっけ。








廊下に出ると、白衣を羽織ったライトの姿が。
相変わらずのフワフワの黒髪。香水は病院ではつけていない。それでも無臭な筈なのにライトからはいい香りが漂う。きっと体に染み付いてる長年愛用してた私の大好きな香りが。
それに二十歳をすぎて、少年ぽさが抜けてすっかり男性らしくなったのにもドキドキさせられる。年を重ねるごとに大人の男の色気が増してる気がするよ。

ライトは患者さんにもナース仲間にもファンが多い。ベタベタ触られてるのを見ると正直『私のなんだから!』と飛び出して行きたくなる。でも私がヤキモチ妬くのをわかってくれて、帰るとちゃんと『俺はアキノのものだから』って言ってくれて………そしてそれを体でわからせてくれるの(きゃっ、のろけ?)。まぁその結果が、これなんだけど(お腹を撫で撫で…)。








「ライト」
「こら、ここでは医師(先生)って呼べよ」
「あ、つい」





言葉とは裏腹に義父さんに良く似た笑顔を向けてくれて頭を撫でてくれる。




「時間空いたから様子見に来た。大丈夫か?」
「うん。何ともないよ」
「そっか」






一度勤務中に出血して婦人科に運ばれたことがあってから、時間がある時はちょくちょく様子を見に来てくれるの。



「無理すんなよ」
「うん」



まだ勤務中ってこと忘れてない?私の肩を抱いて愛しそうにお腹を擦ってくれるライト。


赤ちゃん感じる?パパの優しさを。産まれて来る前からこんなにママとあなたに愛情を注いでくれるんだよ。




「あらっ。おアツいですこと♪」



通りすがりの看護師にからかわれてハッと体を放す。あ、ほらやっぱり忘れてたな。