―――げ、雨降ってる。
靴を履き替えて外を見ると結構強く雨が降っていた。
どうしよう。
傘持ってきてないや。
結構降ってるし、電車だから雨の中走るわけにもいかないし。
夏葉は委員会あるって言って今いないし…
仕方ない、夏葉の委員会終わるまで待つか。
靴をもう一度履き替えようと後ろを向いた時。
「傘、持ってきてねーの?」
ふわ、と頭上に傘が被さっていた。
見上げると風太が傘をさして立っている。
「風太…」
「普通はさ、女子が傘を持ってて、傘を持ってない男子と相合い傘するんだろ?」
嫌みったらしく傘をさすそいつは校舎内から外へ踏み出る。
……すみませんね。傘持ってなくて。
女子力ある女子は折りたたみ傘を持っているのが普通、なんでしょ。
生憎私は女子力ないから。
一歩、二歩、歩いていく風太。
傘が雨をきれいに弾いていく。
そのまま帰るのかと思ったら、不意に私の方を向いた。
「あれ、入っていかねーの?」
入ることがさも同然かのように言う。
…今の流れだと入る流れだったの?
私にはちょっとよく分かんなかったけど。

