「でも、好きだから思い出してたんじゃなくて、ただ心配して思い出してただけなんだ。鵜野山先生は俺にしか彼氏のことを言える人がいなかったから。
だからその時好きとかそういう感情はなかった。今更言っても言い訳だけど、そのせいで朱里に嫌な気持ちにさせてしまったから。本当にごめん」
深く頭を下げてまで謝っている風太を見て、本当に申し訳なかったと思ってることが伝わってくる。
それにちゃんと聞けて良かった。
あの時の風太の気持ちを。
「風太、顔上げて」
ゆっくり顔を上げる風太。
「風太ありがとう」
「え?」
「私嬉しいよ。ちゃんと話してくれて。しかも頭まで下げちゃって。なんか必死みたいだよ」
私が今まで風太を見た中でもダントツに必死だ。
勉強に対しても、人間関係に対してもこんなに必死な風太は初めて。
とってもレアだ。
「そりぁ、必死にもなるよ。朱里だから」
「私?」
「そう。朱里が好きだから」
本日二度目の好きに再び顔が赤くなる。
さっきまで寒かったはずなのに、今はめちゃくちゃ暑い。
どうしてそんなに風太は羞恥心もなく好きだと言えるのだろう。
不思議だ。
「朱里のことは小さい頃から好きだった」
「小さい頃!?嘘だよ!だって風太色んな子と付き合ってじゃん」
「それは朱里が違う男ばかり好きになるからだよ。朱里とは付き合えない代わりに違う女で満たしてた」
「満たす?」
「色々と。ほら俺ってこう見えてもちゃんとした健全男子だから溜まると、ね……」
ははっと笑う風太だけど、それって付き合ってた子達とそういう事をしたってことでしょう?
何それ!
ちょっと軽すぎない!?
風太は遊び人じゃないって心の中では庇ってきたけどやっぱ遊び人じゃん!

