風太は確かに、朱里‘も’、と言った。
なら他に脅された人がいるの?
「俺も脅されたんだよ。付き合わなきゃ私と付き合ってことをバラすわよって」
こ、怖い。
あんな綺麗な顔をした人が言うと余計に迫力があって相乗効果でもっと怖い。
「風太はなんて言ったの?」
「バラしたかったらバラしてどうぞ。だけどバラした時には道ずれですけどね、って言った」
「オ、オウ……」
風太の返しもなかなか怖かった。
道ずれとか…
確かにバラしてしまえば鵜野山先生も風太と付き合っていたことがバレてしまう。
そうしたら風太だけじゃなく、鵜野山先生も危険なはずだ。
「本当にそう言って良かったの?」
「ああ。それにあの人はそんなことやらないよ。無職になって親を困らせるようなことはしない」
きっぱりと断言した風太。
何だかんだで鵜野山先生のことを一番分かっているのは風太だ。
その風太がそう言うならそうなのかとしれない。
「本当に良かったの?鵜野山先生と戻さなくて」
「ああ。良かったよ。それよりも俺、朱里に謝りたい」
「謝る?」
風太は私に何か悪いことでもしたのかな?
そしたら私もこの一週間、風太のことを菌扱いしたことを謝りたい。
「朱里に嫌な思いさせて悪かった。本当にごめん」
「え?」
「朱里に俺が空を見ている時のこと言われて違うって言えなかった。図星だったから。
俺、空を見るときは鵜野山先生のことを思い出してた」
あの、時か。
あの時風太は図星つかれた、って顔してたからそうだろうとは思ってたけど。

