「あ、鵜野山先生だ」
ぽつり、そう言った夏葉の視線の先には外通路を歩く‘うのやませんせい’。
「あの人年がら年中美しいよね。ほらあの颯爽と歩く感じとか」
確かに鵜野山先生は綺麗だ。
顔もスタイルも、雰囲気も。
全てが綺麗。
なんで養護の先生をしているのか分からないぐらい綺麗。
モデルとか出来そうなのに。
今まで何回スカウトされたんだろう。
きっと数え切れないぐらいはされてるはず。
そんな彼女にほとんどの男子、男教職員は惹かれ、女子でさえうっとりするほど。
きっと妬ましいと思っているのは女教職員ぐらい。
そして夏葉も鵜野山先生を少なからず尊敬している。
どうやらあの美しさを見習いたいらしい。
もうすでに私にしては夏葉は美しいけどね。
私だって鵜野山先生がいたらつい見ちゃうし、目が合ったらドキドキしちゃう。
相手は女なのに。
だから、私は適わないんだ。
あの人のライバルになることに。
私なんてあの人の綺麗さの1000分の1もない。
あの人がバラだったら私は落ち葉にすぎない。茶色く乾いた落ち葉。
だから認めるしかない。
黙って指をくわえることも許されずに遠くから見ているしかない。
彼と彼女が、
風太と鵜野山先生が付き合ってることを。